南アルプスを貫くトンネルを掘って、リニアモーターカーを通す計画があります。
1980年代に描いた夢は、本当にこれからの未来のためになるものなのでしょうか?
あらためて、立ち止まって見つめ直す。
一度決まった計画を止めることも、
何かを作るのと同じように、未来のための一歩になります。
以下、 foe japanのブログより、記事を転載させていただきます。
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長野県大鹿村で、リニア中央新幹線に電力を送るために4.1kmの高圧電線と高さ80mもの9基の鉄塔を建てるための山林の伐採工事が始まりました。
鉄塔1基あたり約 1,000~3,000m2の樹木が伐採されます。
伐採対象地には2本の樹齢約300年もの巨木が立っています。
中部電力によると、周辺一帯の脆弱な地盤の中、僅かな強い地盤の場所を選んでいるため、ブナの木を避けることが困難ということです。
ブナのある森は、地下水を蓄え、生き物の住みかとなり、地盤を強化することで災害を防ぎ、麓の畜産農家にも多くの自然の恩恵をもたらしてきました。
ブナ伐採を知った住民達は、「堪忍袋の緒が切れる」「納得できないことばかり進む」「暮らしが破綻させられていく」と憤りの思いを語ります。
リニア推進の立場を取る大鹿村では、リニアに関連する問題に疑問や反対の意見を出すと、村内では「こんなことしたら(村への)反乱だよ」と言われます。
本当は疑問を持っていても、声を上げることが出来ない人もたくさんいるようです。
それでも「ブナを守ろう!」と住民たち30人ほどが立ち上がり、中部電力に要請書を提出し、署名運動を始めました。
大鹿村では、2016年11月、住民を無視した形でリニア中央新幹線の起工式が行われ、その後、リニアのための工事が村内あちこちで進められています。
そしてすでに多くの環境影響が生じているのです。着工翌年の2017年末にはリニア工事が原因でトンネル崩落事故が起こり、住民が村外に往来するための生命線でもある道路が封鎖される事態が起こりました。
また、この年に始まった釜沢非常口付近のダイナマイト発破では、住民が地響きを感じるほどの振動や音が集落を襲いました。
大量の残土が積み上げられ、集落からの景色も一変しました。
猛禽類を見なくなったとの声もあります。
交通にも影響が生じています。
環境影響評価によると、大鹿村を往来するリニアのトラックの数は1日最大1736台。生活道路である山道は一般車でもすれ違うことすら困難な場所が多くあります。
前述の釜沢集落や青木川工区では、トンネルが地下水系・河川の下を通ることから、水源の枯渇や水量の減少が心配されています。
そして、工事は計画通りに進んだとしても、10年間も続きます。
さらに生態系や水量に影響が出れば、住民の苦しみは10年でも終わらないのです。
今年7月、南信州を襲った大雨の影響により、釜沢集落へ続く道とリニアの工事現場に向かう道路が地滑り、大陥没が発生しました。
トンネル非常口付近、残土置き場周辺も甚大な被害を受けており、工事は当面休止となります。
そのような状況の中で始まった送電線のための伐採工事です。
村内の工事も目処が立たない状況、そして静岡では水問題で着工も出来ていない今、300年もこの地を守ってきた巨木を伐らなければならないのかと、住民の方々は疑問の声をあげたのです。
8月17日の伐採開始日、中部電力に伐採中止を求めて217筆の署名を提出、現場ではアクションを行いました。
住民の働きかけにより、ブナの木2本は環境省の日本の巨木に登録されることになりました。
中部電力も、当初今年10月頃伐採予定だったブナの木自体の伐採は来年の7月まで延期すると伝えてきました。
近くで牧場を営む土屋道子さんは「最初の一歩を踏み出しただけ。これからもみんなと一緒に運動を続ける。」と話します。
伐採を先延ばしにするだけでなく、伐採計画そのものを中止させる必要があります。
大鹿村内だけでなく、全国に署名の協力を呼びかけています。
署名、拡散にご協力ください。
オンライン署名はこちらから